【RSR特別企画】RSRオーガニックファームからのつぶやき vol.5

RISING SUN ROCK FESTIVAL(RSR)で、環境対策活動を展開するEarthCareの特別企画『オーガニックファームからのつぶやき』第五弾!EarthCareに関わる方々と主催者のウエス若林さんをお招きした対談の模様を、数回に分けてお届けしています。第五回目の今回は、昨年度から始まった脱プラスチックの取り組みやこれからのRSRへの期待などをお届けします。
前回の記事はこちらから

PROFILE

名前:若林良三(わかばやし りょうぞう)
所属:ウエス

名前:小林卓也(こばやし たくや)
所属:はるきちオーガニックファーム

名前:草野竹史(くさの たけし)
所属:NPO法人ezorock

名前:石井みづき(いしい みづき)
所属:北星学園大学・ezorockボランティア

グラストンベリーのペットボトル全面禁止は衝撃的だった

草野:中学生の時に、ステージに立って、今はボランティアとしてRSRに関わっている石井さんから、東京スカパラダイスオーケストラと共演した時の想いやボランティアに関わるきっかけを聞いてきました。昨年からボランティアをコーディネートするコアスタッフになったけど、当日はどんな感じだったの?
石井:台風で1日目中止になって、そうかなって想定はしてたけど、時間差で「あぁ…」って落ち込んだりしてて。でも、開催できた2日目は、全部雨が振り切ってすごく晴れてたので、なんか久しぶりに朝日を見れたなって嬉しさと。その久しぶりの朝日を、会場じゃなくて、ごみ箱の前で見るっていうのが、自分の関わり方が変わったんだなって思えた瞬間でした。

草野:そんな2019年からは、プラスチック問題に取り組み始めましたね。グラストンベリーがペットボトル全部やめるって言ったのは衝撃的でしたよね。
若林:そうだね、海のプラスチック問題とか見てると、将来魚食べられなくなるんじゃないかって本当に思っちゃって。僕も子どもいるし、孫たちが魚なんて知らないなんてことになるんじゃないかって。

何ができるのかってみんなで出し合っていくのが大事

草野:出店者のプラスチック削減で『one tempo one action』というキャンペーンと、来場者のみなさんにプラスチックが分解するまでの時間を体感してもらう取り組みを始めたのが去年からですね。RSRの大事な部分って、強制しすぎないというか。みなさんで一緒に考えながらやっていこうというスタンスかなと思うんですけど。出店者でも、僕たちが呼びかけるより前から、紙ストロー使っていたり環境負荷軽減に取り組んでいた方たちも少なくないですよね。
はるきち:お店を実際にやってる立場としては、プラスチックって便利で。衛生面のこともあるし、耐熱性とかもあるから、全部が全部っていうのは難しいですけど。でも、環境負荷に配慮しつつ、何ができるのかっていうアイデアを、みんなで出し合っていくのがすごい大事。紙ストローもそうだろうし。ストローって元々藁のことだから、「じゃあ、藁を栽培してみましょうか」っていうのも面白いと思うし。そういうことから、次のステップにいけると思うんですよね。昨年度のキャンペーンは、そういうきっかけになったと思うので、まだまだアイデアが欲しいですね。

若林:フェスティバルの中では、食べ物もひとつのコミュニケーションツールだよね。みんなでわーっと食べて「美味しかったね」みたいなことは、コミュニケーションのひとつの大事な要素だから。それが出店者とのコミュニケーションになるし。石狩市場は、地元の食材を知ってもらったりする場所になってるよね。ボヘミアンエリアは、特にそういった意識を強く持っていて。ソーラー発電があったり、薪割りあったり。あそこで、どう循環型のコミュニティを作るかということを考えるエリアにしたいと思っている。で、ボヘミアンガーデンはフォークな音楽だったり、チルアウトする音楽が多くて。全員がステージの前に行くのだけが音楽じゃなくて、寝っ転がって歌声聞いてるだけでも良いなって思えるようになればいいなって。そしたら、ボヘミアンエリアに行く人がだんだん増えましたね。メインの大きいほうが一番人気だけど「いや、私はボヘミアン」って毎回チケット買う人たちもいるくらい。

非日常と日常の繋がりみたいなことがぐるぐる回っていく

若林:本当はマルシェみたいなのやってみたいんだよね。
はるきち・草野:いいですね!
若林:作った人がちゃんと売って、食べてもらう人の顔を見るっていうのをやってみたくて。それもおしゃれにね。そしたら、自分たちで食材を持ってこなくても、会場の中で買って「ちょっと足りなくなったから市場行ってくるわ」みたいな感じ。昔のまちの八百屋さんだったり、魚屋さんだったり、肉屋さんみたいな専門の店があって、それが集まって市場ができるって発想になったら、面白いなって思っています。
草野:RSRは非日常かもしれないですけど、周りには石狩だったりの日常があって。僕は、特にボヘミアンはその日常の部分と繋がっていくような感じがあって。普段やってることが、会場で体験できたり、見れたりして。RSRに来た人たちも、普段の暮らしの中で石狩や循環を感じてもらえたら。ここの畑もそうかなと思ってるんですけど、普段やってることがあるので、RSRの会場に持っていけるものがあるのかなと思うと。そういう非日常と日常の繋がりみたいなことがぐるぐる回っていくことをやっていきたいなって思いますね。

今年の変化球をどう打ち返そうかってずっと考えてる

草野:アースケアでは「50年後も野外で気持ちよく音楽を」ってキーワードを大切にしていますが、最後に50年後のRSRを想って一言お願いします。
石井:去年からボランティアとして関わって、活動を作っていくってなった時に、どうやって人を巻き込むかだと思って。楽しかったらみんな来ると思うし、強制されたら嫌々やるだろうし。50年後もずっと私たちが、ごみ箱に立ってるんじゃなくて、来場者のみなさんが、何でこんな取り組みをしてるのかっていうことを分かった状態でRSRに参加してもらえると、私たちは必要なくなるというか。私たちがもう何もしなくても良い会場になることを目指して、活動を作っていきたいなと思っています。
はるきち:僕は農家なので。淡々と粛々と、自然と向き合って野菜を作っていくだけなんですよね。それが簡単じゃなかったりするんですけど。だから、世の中がどうあれ、僕は僕で、自然の中で野菜を作る。それを継続してくってことですかね。それをしながら、また面白い取り組みとか、面白いアイデアとか、何か新しい発展があったら最高ですよね。
草野:僕は、あまり無理せず変化するみたいな感じかなと思ってるんですけど。生き物がずっと生きていくためには変化に対応していくことが必要で。「過去がこうだったから、今年もこう」じゃなくて。「社会がこうだから、こうしよう」っていう風に、状況に合わせて変えられる柔軟さを僕たちはもっと持つべきかなと思っています。過去に縛られたり、今までがこうだからって考えるの楽なんですけど。これからは「今こういう状況になったから、じゃぁここは無理せず諦めよう」とか「こっちに変化したから、こっちにちょっとチャレンジしてみようか」っていうような。状況に合わせて、常に形を変えていくことを恐れないっていうことが大事かなっていう風に思っててですね。そういう意味では、やり方とかを常に柔軟に変化させて、取り組みを発展させていくみたいなところが必要だと思っています。それはお客さんだったり、フェス自体もそうあるべきかなと思いますし。RSRはずっとそうしてきたと思うんですよね。
若林:みんなが自主的に考えてくれたり、草野くんが言ったように、生きてる限り、時代に合わせて変化するのは当たり前であって。今年の変化球を、来年はどう打ち返そうかっていうのはずっと考えてるし。みんなの意見だったり、考えだったり思いやりだったり何でもいいんだけど、前に進むためには、僕たちはやっぱり色んな人たちが集って、お互いの個性で話し合って、面白いなって認め合って。あとはその中で共通に「この音楽最高だね」って言いながら一年に一回集まって。それが続いてくれれば本当にありがたいよね。この先、新しいことがいっぱい出てくるだろうし、その中で人間には知恵があるから、そこを共有できればなって思いますね。

最後まで読んで頂きありがとうございました。
オーガニックファームからお届けした今回の対談は今回で終了です。

また、あの会場でお会いしましょう!