【報告】GREENDAY2018〜2日目〜

2018年2月10-11日に Hokkaido youth sessions GREENDAY 2018を、市民活動プラザ星園およびezorockコミュニティスペースにて実施しました。今年のサブタイトルは「自分らしい生き方をえがく2日間」。それぞれの分科会では、講師の話やグループワークなどから新たな学びや気づきを得ることが出来ました。また、分科会だけにとどまらず、合間の休憩時間や交流会でも同じ興味関心や悩みを持つ人と出会えたことで、参加者同士の対話が多く見られました。その場にいる参加者全員によってつくられるイベントとなりました。
今回は、78名が参加した、2日目の様子を報告します。

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モーニングセッション1 3:00〜7:30

「朝3時からのかまくらづくり」
講師:NPO法人ezorock 濱田 桜、伊藤 早穂

朝3時から準備が始まったかまくらづくり。15名の参加者で目指すのは、2時間でかまくらを完成させることだけ。なぜ、朝からかまくらを作るのか、そこに理由は必要なく、かまくら作成中は眠気を忘れ無我夢中で雪を掘る参加者たち。完成した達成感はそこにいた者だけが味わった、言葉には代えられないものでした。15人でかまくらに入り、甘酒を仲良く飲み、最後には、跡形もなくかまくらを壊し、その足で温泉に向かい、心地よい疲れをいやしました。

モーニングセッション2 7:30〜8:45

「こだわりのみそ汁をつくる〜鰹節削り体験〜」
講師:NPO法人Efy 坂本 星美 氏、大竹 春香 氏

朝7時30分から行われたモーニングセッション2では、食コミュニティNPO法人Efyを講師に招き、参加者が自分たちの手で削った鰹節をのせたとろろご飯と、具沢山のこだわり味噌汁を味わいました。参加者はこだわりの素材と心のこもった美味しい朝ごはんと、いろいろな人との会話を楽しんでいました。また、”食と学びにワクワクを”というモットーのもと活動するEfyの取り組みを紹介していただき、改めて食を考えるきっかけとなりました。

分科会3(セッション7〜9) 9:20〜10:50

セッション7

「そのとき自分の人生が動いた~地元に帰るまでの葛藤とその後~」
講師:しべつ未来塾 代表、地元運送会社 代表取締役社長 土谷 悠介 氏
小樽市 産業港湾部 商業労政課 池田 貴裕 氏
北海道大学大学院(元標津町地域おこし協力隊) 神田 あかり氏
北海学園大学3年 八木 一馬 氏
協力:しべつ未来塾

地元に帰るまでには様々な葛藤があり、それはライフステージによって変わります。大学卒業後、地元で家業を継いだ土谷さん、地元の大切さや危機を感じ地元に再就職した池田さん、地域おこし協力隊の任期後、第二のふるさとに残ることを決めた神田さんから地元に帰るまでのモチベーションの変遷や決め手を伺いました。3人とも迷いや、モチベーションが低い時期があったそうです。後半は、地元に帰ることを悩んでいる大学生八木くんが地方の仕事や地方で必要な力について質問し、同世代との繋がりや子育て環境、想いが大切など3人の感じていることを聞いていきました。参加者同士でも『しべつみらい塾』の方を交えて地元に帰ることについて意見交換を行いました。

◆参加者の感想
・様々な地域を見て地元に帰りたいと思った人もいれば、地元には仕事がないから帰らないという人もいた。ゲストの方の人生のモチベーションの振れ幅など、詳しく聞くことができて楽しかった。(20歳 大学生 女性)
・それぞれに地元に帰るまでのストーリーがあった。地元に帰るまでには気持ちの面で「こうしていきたい」という強い決意が必要なのだと感じた。まずは地元をもっと知るところから始めたい。(24歳 社会人 女性)

セッション8

「これからの社会人に必須! すぐ使える会議のすすめ方講座」
講師:江別港 代表、NPOファシリテーションきたのわ 橋本 正彦 氏

今日、会議や話し合いのない仕事や活動はなく、会議を円滑にするうえでファシリテーションは必要不可欠になっています。「決める会議」には共有、発散、収束、決定という4段階があり、進行のファシリテーター、書記のグラフィッカー、時間を測るタイムキーパーという3つの役割が必要になります。グループ作りとミニワークとして「今までに経験した残念な会議は?」という題で会議を行った後、参加者のうち3名、ファシリテーターとグラフィッカーを担った橋本さんによる模擬会議を他の参加者は観察し、気づきや学びを得て、最後には3つの役割や会議のテーマを実際に自分たちで定めて「決める会議」の実践に挑戦しました。

◆参加者の感想
・実のある会議づくりがしたいと思い参加した。ファシリテーターになっても、参加側でも、みんなで会議を作っていくためのヒントをたくさん得ることができた。(社会人 女性)
・ファシリテーターはテーマが決まっていないと難しい。意見を出す方もテーマに合ったものが発言できたらいいと思った。(社会人 女性)

セッション9

「思いだけでは、形にできない~活動に必要な資金の集め方~」
講師:北海道道民財団準備会 事務局長、一般社団法人ARCTICA 代表理事 高橋 優介 氏

どんな団体でも運営を行っていくために欠かせない持続可能な資金調達。今回は非営利組織が活動の資金を集める「ファンドレイジング」について基礎から学びました。ポイントは活動の見える化、その具体的な活動内容と資金の使用用途、そしてアウトカム。また、MITAS(Moved Interest Trust Action Share)の法則、寄付者が感動し、関心を引かれ、信頼して行動し、そして共有する、この流れを理解することが重要になります。後半ではいくつかの非営利組織の動画を視聴し、実際に寄付するのならばどこに寄付するかを参加者が自ら考えて選び、その後各団体の強みやポイントを整理しました。最後は資金調達に限らず、活動には共感が一番大切で、共感×納得×信頼=寄付(支援)となるとまとめました。

◆参加者の感想
・寄付、クラウドファンディングなど、普段聞けない詳しいところまで聞くことができた。当初持っていたマイナスなイメージが変わった。
・寄付を得るには「共感」してもらうことが第一であることを知れて良かった。今後、情報発信など、今日知れたことを実行していきたい。(21歳 大学生 男性)

分科会4(セッション10〜12) 11:10〜12:40

セッション10

「アイヌの世界に飛び込んだ人生」
講師:平取町立二風谷アイヌ文化博物館職員 関根 健司 氏

アイヌは迫害され、文化や言語は失われつつある。そんな中、平取町二風谷は住民の75%がアイヌというアイヌの多い地域。そこへ紆余曲折を経てたどり着いた関根さんはアイヌ語を広めようとずっと活動を続けてきました。その原動力にはニュージーランドの先住民族マオリ文化の広まり方へのショックがあったためです。今は平取町立二風谷アイヌ文化博物館に勤務しながら、アイヌ語教室や小学校での出張授業などを行っています。関根さんの生き方は周りがどうであろうと今自分がやるべきことを精一杯やることや、何が自分を動かしているか分からなくてもまずは行動してみるというもの。飾らない関根さんの言葉や熱い想いに参加者は心動かされた様子でした。

◆参加者の感想
・目指すところを決めたらこそこそ、こつこつ知力を貯める。気持ち、能力、状況など諸々あわせて「はまる」ところで勝負するということを学んだ。(26歳 学生 女性)
・関根さんの生き方の考えに対してとても圧倒された。自分のやるべきことを知って、向かうべきもところがはっきりしていて、その上でのアイヌ語への向き合い方の話がとても面白かった。(大学生 男性)

セッション11

「どうして”から始まる札幌の魅力の伝え方〜君も今日から街歩き研究家〜」
講師:街歩き研究家 和田 哲 氏

碁盤の目の街、札幌。しかし、和田さんは幼少期に札幌中心街と山鼻地区は垂直に接していなく、わずかに角度がついていることに気付いたそうです。札幌中心街は創成川に沿って、山鼻地区は磁北に沿ってまちづくりを行ったため、わずかにズレが生じてしまったようで、まちができる過程には、まちができて行く歴史が必ず関与していると述べられていました。後半は、真駒内、市電、藻岩山、中島公園といった札幌のまちを子どもや外国人、市民にガイドするならというテーマで、グループワークを行いました。和田さんや参加者同士で、そのまちに関する情報を持ち寄り、その場所の魅力を伝えるだけではなく、対象者によっては少しニッチな場所や歴史の話をするなどして、対象者が楽しめるようなガイドの内容を考えました。

◆参加者の感想
・短い時間の中でも札幌の面白いところはいっぱいあるなぁという気持ちになった。また伝えるにしても「誰」に「何」を伝えるかを考えることも重要だなと感じた。歴史の浅い分、多くの実在する資料で裏付けられるというのも札幌らしさかなと思った。(21歳 大学生 女性)
・伝えるにも対象を考えて話をすると納得や発見などしてくれる。実際に考えてしてみると難しく、新たな発見もあり面白かった。(社会人 男性)

セッション12

「「世界一幸せな国」デンマークを見て、考えること」
講師:ユースコミュニティデザイン 藤井 柚花 氏
NPO法人 Kacotam 髙橋 勇造 氏

国連が発表する世界幸福度ランキングにおいて3年連続1位を獲得し、「世界一幸せな国」といわれるデンマーク。教育費、医療費無料により弱者を助ける社会となっています。義務教育終了まで試験はなく、知的水準よりも個々の能力を最大限に伸ばすことに重きを置いた教育が行われています。そのような、”なぜ幸せなのか”という理由を、講師の藤井さんよりお聞きしました。また、「学びの機会格差問題」解決に取り組むNPO法人Kacotamの高橋さんより、日本の教育の現状とデンマークとの差をお話いただき、その後、グループワークとして、生きにくさを感じたことや、理想の社会のあり方について意見を交わしました。

◆参加者の感想
・幸福度が高いデンマークと日本とは大きく違う点がたくさんあり、日本を改めていかなければ、少子化や就職についても変わっていかないと思った。(21歳 女性)
・自分も教育×福祉の仕事をするのでヒントになることがいっぱいあった。自己決定をできる社会を目指して少しずつできることを取り組みたい。(22歳 大学生 女性)

クロージングセッション 13:40〜15:40


GREENDAY 2018のクロージングは、写真を共有していきながら、参加者同士が感想を述べる形で2日間を振り返りました。その後4つのグループをつくり、意見交換。参加して最も印象に残った一言と1ヶ月の間にとにかくやってみることを紙に書き、輪になって、みんなで共有発信をしました。最後にNPO法人ezorock代表理事 草野と実行委員3人より挨拶。草野からの“参加者という概念はあまりなく、みんなが作り手側、みんなが制作者”という言葉に参加者は心動かされ、共感した様子でした。

会場装飾


今年の会場内装飾はタイムラインやフラッグなど合計で13種類ものアイテムを製作しました。些細な事だが、どれも参加者が気持ちよく参加できる場をつくるという大切な役割を果たしました。特に、タイムラインはその場に掲示するだけでなく参加者同士がタイムライン上で意見を共有している場面も多くみられ、アイスブレイクや交流会といったものとはまた違う方法で様々な考えに携わられるツールとなりました。GREENDAYへの参加意識の強化など装飾を行う意味を再確認することができました。