【連載|対談】ezorockers KAI TAKAHASHI ~環境教育を研究してみたくて~

ezorockの『人』に着目したコラム第21回目は、栗山町・里山づくりプログラムのコアスタッフ、かいの登場です。一見大人しそうなかいですが、実はユニークな人物。自分の研究とも関係していた活動を、振り返ってくれました。

PICK UP

✔ 環境教育の研究をしたくて、栗山へ
✔ 子どものために頑張る地域の人たちがいる
✔ 継続的に行くことで地域の人も受け入れてくれるように
✔ リフレッシュしに来る社会人も徐々に増えてる
✔ 地域の人との触れ合いも、地域の自然のこともすごく勉強になる

PROFILE

名前:高橋界(たかはしかい)
あだ名:かい
所属:北海道大学大学院環境科学院
ezo所属:ボラ旅北海道(栗山町・里山づくりプログラム)
出身地:千葉県匝瑳市
特徴:メールのことをメイルという

名前:高橋苗七子(たかはしななこ)
あだ名:ななこ
所属:ezorock
出身地:北海道旭川市
特徴:親指の爪が人の半分サイズしかない

実際に自然の中で行っている環境教育を研究してみたくて

な:まずは、なんで活動に参加したの?
か:今(2018年3月)、北大の環境科学院の3年目なんですけど、1年生のときに代表の草野さんが講師をした授業をとってたんですよね。それで、実際に自然の中で行っている環境教育を研究してみたくて相談したら、栗山町のことを教えてくれて。それで初めて参加した。で、12月から自分の研究調査が始まって。それから3年間、調査をしているっていう。
な:研究テーマは「栗山の環境教育とNPO」みたいな感じだったよね。
か:栗山の場合、教育委員会が主になって、それを民間団体が学校教育として行っていて、その取り組みと、学校での事前・事後学習について研究した。

な:研究でわかったことって、あった?
か:僕の一番の関心は、学校で出来ることがどういうことかっていう事だったんで、(体験活動の)事前・事後に関する研究が中心だったんですよね。だから他の地域の事例との違いっていうのは、論文になるほどのことがちょっと分かってないんだけど。でもNPOのプログラムが学校でちゃんとできるように教育課程も作っているっていうのが、他の地域にないことだっていうのはわかってます。

地域の人たちに話をしてもらいやすくなる

な:研究をしようと思ったことが、活動するきっかけになったってことだよね。でも、里山づくりの活動自体は、一見直接は関係ないけど、続けてたのはどうして?
か:子どもたちが体験活動をする場所っていうのが、20年とかかけて地域の人が日曜日に集まって整備し続けているっていう里山なんですよね。で、活動当初50歳くらいの人たちがやってたのが、今は70歳とかになってきちゃって。地域活動のことは研究に直接関係しないんですけど、そのNPOや教育委員会の人にも手伝ってもらっていてお世話になっているので、そっちの活動も見て見ぬふりできないなって、なにかお手伝いできることがあればなっていうのが一番大きくて。実際その場所がないと、自然体験ができないんですよね。だから、そこを整備するための活動に参加するのも、自分の研究にとっていいことがあるかなって思って。

な:いいこと、あったんだね。
か:研究にとってよかったのは、定期的に地域の人に会うと信頼関係ができるので、話をしてもらいやすくなることがある。研究でそれは一番大事なことなんで、それがずっとできるっていうのは、本当にいい機会だなって思って。自分にとっては子どものために頑張る地域の人たちがいるっていうのを、知れたことがよかった。先生として、子どものために頑張るとかって言うのは考えたことあったけど、それ以外の人がそういう思いをもっているっていうのは、このezorockに関わって知れた。
な:すごいよね。完全ボランティアでさ、何十年もやっているっていうね。
か:地域の子どものために。
な:子どものためと、あと地域のオオムラサキっていう蝶のために。リーダーの方がさ、その蝶のことについて、こんな生態でこういうふうに育ててるから、これにはこんな意味があるみたいに、時間をかけて説明してくれるくらい、思いがあるよね。
か:うん。その人がずっと30年間くらいやっている取り組みなんですよね。
な:周りで携わっている人も、そのリーダーを応援したいんだっていう気持ちがあって。

子どもたちのためにもなっているけど、地域の人も

な:なにか、変わったなぁと思ったことはある?
か:地域のおじいさん、おばあさんたちが、楽しそうに「今回も来てくれたんだね」って感じで、モチベーションが高まっているのかなっていうのは、いいことかなって思う。間接的に、子どもたちのためにもなっているけど、地域の人もですよね。里山を保全している人たちに、僕たちが行くってことがいいって思ってもらえることが一番っていうか。行って、間伐材を運ぶとか、子どもたちが植えた畑の草取りをするとか…。
な:そう言うとすごく地味な活動だね(笑)

か:でも川の保全とか、ダム作るっていうのは結構派手?だよ。あそこは粘土層になってるんで、そのままだと砂が流れて川が埋まっちゃったりするんですけど、砂の流出を防ぐために階段みたいに石を組んでいって魚道にもダムにもなるものを作るんだよね。
な:あそこの川は最初、木が生えている湿地だったんだよね。子どもたちがそこを観察できるようにするために、結構いろいろやってめっちゃ変わったよね。
か:変わりました。子どもが遊べるようになった。

最初は「この人たち誰?」みたいな感じだった

か:地域の人たちは最初は「この人たち誰?」みたいな感じだったけど、1年くらい続けてから、徐々に「あ、また来てくれたんだね」っていうふうに変わってきて。で、それくらいの頃から、ezorockから参加した人も「雰囲気がよかった」って言ってくれるようになった。この1年でそれぞれがお互い安心できるようになったっていうのが、よかったかな。
な:「今まで参加した中で一番楽しかった」って感想があったって聞いたよ。
か:地域の人が作ってくれたお昼ご飯を一緒に食べるんで、ご飯を共にして一緒に話ができるような関係になってきているんですよね。そういう雰囲気のよさが裏付けられた感想だったかなって。

な:栗山って、地域の人がいっぱい参加していて、そこにezorockのボランティアも加わって、一緒に同じことをやるっていう感じ。他にそういう活動はあんまりないよね。里山の保全活動だけじゃなくて、地域の人との交流も楽しみに入っているっていうか。
か:確かに。自然にあんま興味ない人も来るよね。月1回・日曜日、っていうのは、社会人も結構気軽に参加できるし。最初は、子どもの自然体験を手伝いたい人が多いと思ってたんですけど、土日に自然の中でリフレッシュしたい人も徐々に増えてきたっていう感じです。

 

毎回ちゃんと説明してくれるから、知識が身に付いた

か:活動中、自然についてちゃんと話してもらえるっていうのは、毎回あります。
な:作業が半分くらい終わったら、あとはずっと説明してくれる回とかあったりしてさ。
か:そうそう。作業ももちろんあるんだけど、すっごい説明してくれる。
な:めっちゃ勉強になる。川の保全のこととかもさ、専門家の人が話すような内容でさ、それが面白いよね。
か:冬になる前、リーダーがいないときでも、地域の若い人とezorockの参加者とだけでダムを直す活動ができたんですよ。それも、そうやって毎回ちゃんと説明してくれるから、いろいろ知識が身に付いたんだと思う。
な:初めて自分たちだけでやったんだよね。
か:ダムの下から水が漏れちゃって全然役割を果たさなくなってたから、それを直したんだけど、なかなかうまくできなくって。でも最後に「あぁ!ここじゃねぇ?」みたいになって、それでうまく流れたからみんなで「うわぁ」って感動した。
な:実際その川で小さい魚とかが見られたりとかして、感動するよね。
か:プログラムを初めた2015年は、全然川になってなくて、洪水が起きてえぐれちゃって魚がいられるような場所じゃなかったんですけど。でも2年くらいかけて、そんなふうに綺麗になったっていうか。もちろん、地域の人たちが主導でやってきてくれたっていうのがあってですけど。

おまけ~めっちゃ釣りしてた

な:趣味は?
か:釣りが好き。大学生のときはもう、大学行って釣りして飲みに行ってバイトしてって感じだった(笑)。九十九里の海だと、浜からでもスズキが釣れるんですよね。
な:あ、大学は千葉だったよね!そもそもなんで北海道に来たの?
か:父親が北海道出身で、おばあちゃんがいるっていうのと、教育学部の先輩が結構北大に来ていたっていうのがあって。
な:4月からは小学校の先生だけど、どんな先生になりたい?
か:楽しい先生(笑)
な:かいが小学校ってなんかイメージできない。
か:俺も(笑)この間、子どもに授業をして、その様子をビデオにとってたんだけど、見てみたら「すげー暗いなこの先生」って思った(笑)
な:ぱっと見はなんか元気なさそうだよね。でもその陰にユニークさが見え隠れするっていうか。その面白さを小学生が分かるかな…ってちょっと思うよね(笑)
か:そこ一番問題だよね。

最後まで読んで頂きありがとうございました。
今後もezorockで活動するコアスタッフ達を紹介していきます。

次回も楽しみにお待ち下さい。
そして、ぜひ活動にも参加してみて下さい!

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