【連載|対談】ezorockers KEISUKE SUGAWARA ~好きだけじゃ守れない~

ezorockの『人』に着目したコラム第17回目は、大雪山国立公園旭岳自然保護プロジェクトからがっちゃんが登場してくれました。釣り大好き、モノづくりに長けたがっちゃんが、ezorockに関わるようになったきっかけから現在までを、赤裸々告白します。がっちゃんならではの目線で活動の色々を紹介してくれました。

PICK UP

✔ きっかけは、彼女に振られて(笑)
✔ 趣味のルアーづくりと登山道整備のつながり
✔ 山に来ている人たちが、知らずに好きなものを傷つけてしまっているのが悲しかった
✔ 現場で色々やってるけど、俺はちゃんとわかってやってるのかなって
✔ 活動の始めと終わりに伝えるべきことを伝えたい

PROFILE

名前:菅原圭祐(すがわらけいすけ)
あだ名:がっちゃん
所属:酪農学園大学4年
ezo所属:大雪山国立公園旭岳自然保護プロジェクトプロジェクト「NINOMIYA」
出身地:宮城県気仙沼市
特徴:意外とすぐ泣く感動屋

名前:高橋苗七子(たかはしななこ)
あだ名:ななこ
所属:ezorock
出身地:北海道旭川市
特徴:長女なので兄弟モノの映画に弱い

自然からの評価を受けるモノづくり

七:そもそも、旭岳の活動に参加するようになったきっかけは?
が:入ったのは大学2年生。高校のときから付き合ってた彼女に振られまして(笑)。なんかしたいって気持ちが胸の辺りにもやもやしていて、そのときにサークルの先輩に誘われた団体説明会で、旭岳の登山道整備の部分に引っかかって。僕自身モノづくりが好きで、登山道とかできたら面白いよねって思った。

七:登山道整備とモノづくりって、がっちゃんの中ではどういうふうに繋がったの?
が:趣味でやってる釣りのルアー作りと繋がってるのかな。ルアーは魚を釣るために作るんですけど、できによって魚の釣れ具合が変わるんですよね。だから、自然からの評価っていうか、自然との知恵比べみたいのがあって、登山道整備もちょっとそれにつながるっていうか。

が:僕たちが登山道整備で今やっているのは、近自然工法っていってなるべく自然に近い形で整備をしてる。コンクリートでガンガンじゃなくて、植物とかが復元できるようなかたちでやっていて、現地にある木材とか石とかを使っていくんですけど、それはどうしても知恵っていうか、材も均一なものがないしその場に合わせた施工が必要で。いい登山道を作れば、植生が回復してくるし、あと人がケガしないで済むっていうのがすごく大きくて。悪いのをつくると、人もケガするし、植物とか自然もどんどんなくなっちゃう。そういうところが、(ルアーづくりなんかと)繋がるかなって。

Love to death

が:山道は、自然にもとからあるわけじゃなくて人が付けてしまったもので、まず、そこから考え方を変えなくちゃいけなくて。旭岳行くとよくわかるんですけど、道だけすごくえぐれているんですよね。自然にできたものじゃないし維持管理がちゃんとできていないところに、人が通ることで表面が削れてきて、雨がふったりするとさらにえぐれちゃう。そうすると土がなくなって、植物が失われる。それがすごく悲しいっていうか。一番の問題は、そこに人が道を作ってしまったことで、来ている人たちは山とか植物とかが好きで来ているのに、自分のしている行為で知らずに好きなものを傷つけてしまっているっていうのが、見ていて悲しかった。
七:がっちゃんがよく言う、Love to deathっていうやつだよね。
が:うん。「死への愛」ね。愛しすぎるあまり殺してしまうっていう。すごいその言葉が、グサッときて。

自分のしていることを言葉にする

七:がっちゃんがさ、ezorockの活動によって変化があった時期っていうか、一回グッってなったときがあったと思うんだけど。
が:一番ターニングポイントになったのは、東京であったecocon(全国大学生環境活動コンテスト)に出て、それの資料を作っているとき。「俺はいろいろ現場とか行ってやっているけど、それを全然言葉にできていないな。俺はちゃんとわかってやってるのかな」って。いろいろ考えるきっかけになったっていうか。そのとき東京へ行く資金もなくて、バイトしながら寝ずに作っていたりとか、もう精神的にも肉体的にも極まってた状態だったんですけど。

七:12月にecoconがあって、年明けに会ったメンバーがすごく変わってた。その後だよね。NINOMIYAの活動にも参加しだしたの。あの頃から、ちょっとおかしいと思ったことは言うっていう部分が出てくるようになった。がっちゃんってTHE・昔の男みたいに、意見を言わないってところあったけど、どんどん言ってくれるようになって、今までみんなおかしいと思いながら妥協していたようなところから議論が始まるっていうことがすごく増えた気がする。
が:うん。言わないと、自分のチームなのに自分の意見が反映されないのは嫌だし。積もり積もる部分もあって「言わなきゃいけんべ」って思うところもあって。言っていかなきゃダメだなって思ってる。別に、俺の意見が妥当だとか思ってじゃなくて、ただ単にイラっとしちゃって言うときもあるけど(笑)。

好きに新しいエッセンスをプラスする

が:旭岳のコアスタッフには2つのタイプの人が入ってて、元々自然がすごく好きっていう専門の人と、活動が好きでっていう人がいて。僕自身は自然はすごい好きだけど、専門的に学んでいる人とは違うから、そういう人の意見の方が正しいのかなとか、そっちを尊重しなきゃいけないのかな思ったりしていたりもしたけど、必ずしもそういうわけじゃないなって思うようになって。
七:結構いい意味でひっくり返すような意見をがっちゃんが言ってくれたりとかして、みんなそれもいいなって思ったりとかして。みんながはっとする場面も多くなったよね。
が:好きだけじゃなんも守れねぇなって思って。Love to deathの話じゃないけど、好きだからキズつけちゃうってこともあるから、他の新しいエッセンスっていうかそういうのをプラスしないと。俺の場合はモノづくりっていうのがあるから、それを通して山を好きで入ってくる人の気持ちとか、山とか自然を守っていければいいなと思って。それは、結構大事にしてる。

七:それぞれ違うエッセンスを持ったメンバーが集まって一個のチームになってるのが面白いって思う。旭岳自然保護監視員の方と活動しているけどさ、中でもがっちゃんたちモノづくりタイプの人同士はなんか通じるものがあるよね。
が:うん。なんか感じが似てる。あんま喋んなくて。
七:黙々と一人でやるタイプっていうかね。監視員の方たちは日々旭岳を歩いているから、ちょっとした変化も敏感に感じるし、ここをこうしたいっていうのをすごく考えているよね。
が:すごく、尊敬してる。俺あの人たちがいいなって思うのは、旭岳っていう自分たちのフィールドがあるところ。僕は、ezorockから旭岳へ行く側なんで、まあ旭岳がフィールドっちゃあフィールドなんだけど、ちょっと引いているみたいなところもあって、自分のフィールドを作りたいなってっていう気持ちはあるんですけど。

最初があるんだから、最後があってもいいでしょ!

が:活動では参加者に、最初に国立公園がどういう場所か、どういうことをするかって言うことを話して、終わり際にまた、なんでこういう活動をしているかっていう説明をするんですけど。そういった点では活動の意味を伝えていたりするので、だれでもとっつきやすいっていうか。その説明があったからコアスタッフに入ってくれた人もいて。
七:あぁ、そうだね。メッセージ性があるっていうか、やったことと説明の整合性があるっていうことで、外遊びをしたこともない子が続けて参加してくれてたりするもんね。その締めの説明っていうか、最後にやったことの意味をもう一回伝えるっていうようにしたのは、がっちゃんのやった成果だよね。

が:そうですね。それこそそれは、ecoconがあったから。そこで、俺らはちゃんと活動のときに伝えるべきことを伝えているのかなって思って。それにやっぱりこう、最初があるんだから、最後があってもいいでしょ!って思って。最後にきちんと伝えるべきことを伝えなきゃいけないよねってなって、締めの時間を作りましょうってことになったんだよね。

七:具体的には、どうこと?
が:締めに関してはLove to deathですよ(笑)。なんかこう、国立公園にはいろんな利用者がいて、登山者や観光客、ロープウェイやホテル、あと麓にいる旭岳の水をつかって農業している人も、飲んでいる人とかもみんな利用者で。石狩川もつながっているからそういった意味では、札幌にいる僕らも間接的に恩恵を受けているし。
でもそういった人たちが知らないうちに自然に負荷を与えていて、自然が壊れていっているところもあって。登山者も意外と地元の人たちだけじゃなくて、都市部とか本州の人たちっていうのが結構多くて、ただ使いっぱなしっていうだけだったら、旭岳の自然が壊れていくから、都市部からも人を集めて活動しているんですよっていう。

が:それで、みなさんにはこれからも、動物にエサをあげないことと、ロープの外に出ないっていうこと、それからごみを捨てないようにっていう3つのルールを守りながら、ぜひ自然と戯れていってほしいっていうことを話しているんですけど。
七:なるべく、一回この活動に参加してくれた人には、これからもそういう意識を持って行って欲しいっていうことをちゃんと言葉で伝えるってことだよね。そういう意味ではやっぱecoconは大きかったね。
が:うん。ecoconでなにが一番できてなかったかっていうと、思いしか伝えられてなくて。こういう思いでやってますっていうことだけで、それを見た審査員の方が「その発表は自己満足だよね」って(笑)。自分が気持ちよくなりたいからやってるんじゃないのって言われて腹立って(笑)。じゃあ、ちゃんと言葉にしてやろうっておもったので、こういう理念でやってますっていうのを、旭岳の締めで。

七:旭岳の活動っていうのは、旭岳自然保護監視員さんの存在ありきで始まった活動なんで、監視員さんの目的に合わせてezorockの活動があるっていうのもあるよね。だけど、そこに自分たちなりのものもを持ちたい、そういうものがあるはずだって考えてきたのが、その締めの説明だったりなんだよね。
が:うん。ただ俺達のオリジナリティーある言葉にできてるかって言ったら、まだできていないんだよね。そこはもうちょっと言葉にしたいなと。もうすぐ離れる身としては。
七:そっか。これからは山側で関わっていくもんね。
が:まあ、詳しく決まっているわけじゃないんですけど、登山道整備をしている会社っていうか団体に入ることになったんで。

おまけ~実は海・川が好き

七:がっちゃんのふざけたところをさ、もうちょっと出したいよ。
が:全然まじめだった。
七:うん。
が:まあ、やっぱり山より海とか川がすきだよね。
七:衝撃の事実だよね。そこはね。
が:やっぱり自然と関わることで俺には「食う」っていうのが切っても切り離せないところだから。山って特別保護区とかだと、食っちゃだめでしょ。でも川とか海ではそれができるから。
七:学校さぼって釣り行ってたんでしょ。高校のときはさ。
が:さすがに学校はさぼらなかったけど(笑)。部活はさぼってた。気仙沼は熱のある釣り人が多かったりして、魚もすぐ学習するんだよね。あ、ルアー来たみたいなさ。
七:気仙沼の魚の方が頭がいい(笑)。
が:うん(笑)。北海道はあんまり釣りする人がいないっていうか、秘境チックで入りずらい場所が多い。だからあっちでは、全然釣れないような、ダメダメのルアーがこっちではすごい釣れちゃうくらい。すげー楽しいですね~。

最後まで読んで頂きありがとうございました。
今後もezorockで活動するコアスタッフ達を紹介していきます。

次回も楽しみにお待ち下さい。
そして、ぜひ活動にも参加してみて下さい!

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