[RSRオーガニックファーム]種いもの秘密

5月1日(土)、オーガニックファームチームでは第2回畑ツアーとして、「種いも植え」と「ピュアホワイト・すいかのマルチ・トンネル設置」を行いました。
この日の作業に参加したのは、オーガニックファームチームのもえ、れん、ひかる、ちゅ〜そん、ゆうや。環境NGO ezorock(以下、ezorock)事務局のタケシ、やっくん。
そしてツアー参加者のさおり、ゆかり、しゅん、きょこたん、チェンの計12名という大人数でした。
もともと8名の方がツアーへの参加を申し込んでくれたのですが、残念ながら当日都合が悪くなり、最終的には以上の5名の方が参加してくれました。

さて、ツアーについては伝えたいことがたくさんあるので、今回は前半(種いも植え)と後半(マルチ・トンネル張り)に分けて書いていこうと思います。
この記事では、ツアー前半にあたる「種いも植え」についてお話していきます。

午前中の天候はあいにくの曇りで、風も強く寒空の下でのツアー開始となりました。ツアーの前半で行った作業は種いもを「切る」作業と「植える」作業の2つです。
種いも切りは、ビニールハウスの中で行いました。
今回は人数も多く、全員で一度に同じ作業をすると道具が足りなくなってしまうので、2班に分けて種いも切りと種いも植えを交互に行いました。ビニールハウスの中には、はるきちさんの種いもが写真のように大量に並べられていました。

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種いもと聞くと、小さな種のようなじゃがいもを想像しますが、大きさも形も普通のじゃがいもと変わりません。
この種いもを一片が30〜40gになるように切ります。切ることで刺激が加わり、種いもが成長しようと目覚めるのです。なので、もともと重さが30g程度のじゃがいもの場合でも、切って刺激を与えます。
さて、切ると言ってもやみくもに切ればいいわけではありません。一見どこから見ても変わらないじゃがいもですが、よく見てみると芽が集中して生えている部分(頂部)があります。
そして、頂部の反対側には、芽がついていないくぼみが見えます。このくぼみがかつて茎とつながっていたところ、人間で言えば「へそ」の部分となります。ここで「茎ではなく根じゃないの?」と思った人もいるかもしれません。
意外かもしれませんが、じゃがいもは根ではなく茎の先が膨らんだものなのです。種いも切りはこの茎とつながっていたへその部分を下にして、地面に対して垂直方向に切っていきます。
この時、各一片には必ず芽が含まれるように注意しなければなりません。このように切ることで、各一片がきちんと芽を出し成長することができるのです。

どこから見ても同じように見えるじゃがいも。
しかし、その中にはかつて茎とつながっていた部分やこれから芽を出すための頂部があることを知り、やはりじゃがいもも生きているんだ、と私は改めて実感させられました。
昨年もじゃがいもを栽培したので、じゃがいもが生きているものであることはもちろん理解しています。しかし、収穫されて「商品」として店頭に並ぶじゃがいもにも、かつて生きていた痕跡があることが私にとっては新鮮だったのです。
みなさんも料理でじゃがいもの皮を剥くときは、是非じゃがいもをよく観察してみてください。

さあ、こうして種いもを全て切り終わったわけですが、今日切った種いもはすぐには植えず乾燥させます。切った直後の種いもを土に植えると、雑菌が混入し腐敗してしまう可能性があるからです。昨年は消毒のために切り口に灰をつけて植えたのですが、アルカリ性である灰はじゃがいもにとって良くないので、今年は乾燥させることで腐敗を防ぐことにしました。
ということで、今回は事前に切って乾燥させておいた別の種いもを植えます。

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では、いよいよ種いもを植えます。
まずは、クワを使って種いもを植える溝作りです。第1回畑ツアーでも書いたように、農作業はいかに疲れないよう効率よく行うかが大切です。
(第1回畑ツアーの様子→https://www.ezorock.org/organicfarm/1683
オーガニックファームチームのれんが、クワの使い方をみんなにレクチャーしました。
参加者の中にはこの日に初めてくわを持った人もいて、最初はなかなか真っ直ぐに振り下ろせなかったりと悪戦苦闘です。しかし、作業を進めるうちにみんな少しずつうまくなっていきました。

溝が完成したら、今度は種いもを30cm間隔で置いていきます。
さて、30cmを測るのにいちいちメジャーを使っていては手間がかかります。私たちの身近にある30cmに近いもの、すなわち靴の大きさを目安に30cmを測ります。
さらにここでポイントです。種いもは通常切り口を下にして置きますが、私たちは昨年もそうしたように切り口を上にして置きます。あえて芽を下にすることでじゃがいもが重力に反発し、一生懸命上に芽を出そうとすることで力強いじゃがいもになるからです。

今年はこの作業の他にもう一つ、肥料入れを行いました。
じゃがいもの溝と溝の間にもう一列溝を作り、そこに肥料として落ち葉と少量の堆肥を入れたのです。堆肥はじゃがいもにとっては栄養がありすぎるので、直接触れないように気をつけます。
最後は溝に土をかけ、畑を平らにしたら完成です。

このカラカラに乾いた30〜40gの種いもから、夏には約20倍もの量のじゃがいもが収穫できるのです。
今日から3ヶ月半、収穫まで無事育つでしょうか。種いもを事前に乾燥させるなど、昨年より改善した点もたくさんあるので、今年はどんな美味しいじゃがいもが収穫できるのかわくわくです。
その反面、天候が悪くて収穫できなかったらどうしようという心配もあり、植え終わった後は期待と不安が入り混じった気持ちになりました。

今年の春先の天候は不安定で気温もなかなか上がらない日が続いています。
しかし、オーガニックファームチームは農薬や化学肥料を使うのではなく、
今年も自然とうまく付き合って有機栽培で育てていきます。

後半の「マルチ・トンネル張り」の記事もどうぞ一緒にご覧ください。

文章:松尾ひかる(ひかる)