【連載|対談】ezorockers KAZUMA YAGI ~田舎出身を誇りには思ってなかった~

ezorockの『人』に着目したコラム第20回目は、石狩体験キッズ「チポロ」からキングが登場。実は誰も知らなかったezorockとの衝撃の出会いから、地元網走への思い、憧れの先輩との思い出、いぶりでの活動経験などなどを話してくれました。

 

PICK UP

✔ 大学の実習で初めてezorockへ
✔ みんなの悩みを聞く役割も必要なんだって気づいた
✔ 自然のことを一緒に学んで、伝えていくのが体験活動
✔ 普通の人がやってる。それが魅力的
✔ 続けることで理解してもらえる

PROFILE

名前:八木一馬(やぎかずま)
あだ名:キング
所属:北海学園大学
ezo所属:石狩体験キッズ「チポロ」
出身地:網走市
特徴:幻の深海魚メガマウスシャークに似ている

名前:高橋苗七子(たかはしななこ)
あだ名:ななこ
所属:ezorock
出身地:北海道旭川市
特徴:毎年秋になるとイクラを漬けている

バイト行って、友達と飲んで、学校行って、寝て

な:そもそも、ezorockにはどうして来たの?
キ:知らないと思うけど、大学1年の実習でezorockに来たことがあって。
な:えっ。マジ!?
キ:うん(笑)。そんときは代表のタケシの話を聞いただけで、何にもなかったんだけど。「社会教育主事」っていう、公民館とか青少年自然の家とかに配属されたりして、学校外の教育に携わる公務員の資格を取ろうとしていて。その実習で。
な:衝撃。そのあと、コアスタッフになったのは?

キ:ちょうど1年前。大学2年の終わりぐらい。なんとなく大学の先輩に誘われて薪割りに行った。そのあとまた誘われて環境対策活動に行った。
な:それまでは何してたの?
キ:サークルを転々としてました。小中サッカーやってたんで、フットサルのサークルに行ったり、資格の関連で街づくり系のサークルとか。で、1年生の終わりからバイトを始めて月100時間弱くらいずっとバイトをやってた。スーパーで。バイト行って、友達と飲んで、学校行って寝て(笑)、またバイト行って、みたいな。

想像以上に自分ってできないなって

な:社会教育主事になりたいって思ったのはなんで?
キ:大学終わったら網走に戻ろうと思ってて、地元でできる仕事を考えたら公務員ぐらいかなって。
な:それは、高校のときに思ってたの?
キ:うん。おじいちゃん子だったから、おじいちゃんと暮らせたらいいなぁって。

 

キ:でも1年生のときはその資格に強い魅力を感じてた訳じゃなく、なんとなくって感じ。で、2年生のとき他の場所で、子どもの通学合宿をする実習があって、想像以上にできないことが多かったんですよ。子どもたちがちょっとケガしちゃったり。なんか締まりがない感じだった。そのあとにezorockをやってる先輩がプロジェクト「NINOMIYA」の活動に誘ってくれた時に、僕が去年から所属している石狩体験キッズ「チポロ」の当時のリーダーに会って。その体験を話したら、自分たちの活動と近いものがあるって話で、それでミーティングに行ったっていう流れです。
な:途中でいろんな人に会ってるんだね。
キ:うん。それでなんか、このezorockっていう空間が気に入っちゃって、いろんな理由を付けて事務所に来てた。

話を聞く役割は必要なんだって気づいた

キ:その後は、GREENDAY(年に一度の研修イベント)に参加した。
な:なんか重要な役やってたよね?
キ:クロージングの司会かな?
な:すごく印象的だったよ。あれって2日間の研修の最後に何を考えるかっていう大事な時間でしょ。その司会をキングが先輩と一緒にやったんだよね。なんでその二人に決まったの?
キ:憧れの先輩だったんで、一緒に何かやりたいって提案をして…。
な:まーくんて、そんなに憧れられる感じの人だったんだ。
キ:(笑)。関西弁のおちゃらけた人ですけど。

な:当時まーくんにつなげてもらってたっていうか、いっぱい話聞いてもらってたのは覚えてる。
キ:うん。僕のメンター(助言者)的な存在。
な:そういえばさ、前に「ちゃんと話さないと人は動かないんだ」みたいなことを言ってたよね。で、周りに積極的に話しかけてたかも。所属を問わず。どうして活動やっているかみたいなことを聞き出したり。
キ:僕が入った頃、1回ezorockを離れる選択をする人がすごく多くて。入ったばかりなりに、この場所で学べることとか、ここで成長できるってすごく思ってたから、なんかもったいなくて。ezorockを続ける上で一人で悩みを抱えて辛くなってるのかなって思ったから、それぞれどういうやり方で解決してるかとか、話すだけでも軽くなるのかなって。逆にスタッフには打ち明けにくい悩みなのかなと思って。それを僕が聞くだけで軽くなるならいいなって思って。僕自身話を聞いてもらっていたからこそ、そういう役割は必要なんだって気づいた。

 

背中を押してもらった

キ:で、次年度のリーダーを決めるときに、みんな就活に入るので、残るのが僕ともう1人だけってわかって。2人で話しをしたら、その人が僕に「リーダーをやりたがってる」って言ってくれた。「チームをよくしたい」とか、「こんなことをやってみたい」とか言ってるから、リーダーやったほうがいいって言ってくれて。それで背中を押してもらったって感じ。
な:なんかそういう場面多いんじゃない? 自分から言い出さないっていうか。
キ:そうなんですよ(笑)。僕、末っ子長男なんですけど、末っ子長男の特徴について書いてある本で、「責任を持ちたくない」みたいなことが書いてあって、まさにそうだなって(笑)。人の行動を見てなるべく衝突しないようにとかは、周りの人と話すところにも繋がってくるのかなと思って。
な:いいところもあるけどさ、「そこはつかめよ」っていうところでするっといなくなったりするときもあるよね(笑)

田舎出身を誇りには思ってなかった

キ:ボラ旅北海道ではいわゆる「田舎」に行くことが多いんです。僕は自分を田舎出身だと思ってて、それを誇りには思ってなかったんだけど、活動を重ねるうちに田舎に魅力を感じる人が多いことを知って。そこに誇りを持っていいんだなって思うようになった。それから、僕は自然とか子どもがすごい好きとか専門って訳でもないけど、北海道で生きていく上でみんなが自然というものは当たり前にあるものでそれを理解していく、誇りにしていくというのが必要だと感じた。自然に関して専門性はないけど、それを一緒に学んでいく、伝えていくことが体験活動ではできると感じた。

な:わかる。私も強い専門性とかないからさ。今も結局コーディネーターみたいな仕事だし。でも5年くらい前に「できないことは頼めばいいんだよ」って言われたのがすごく印象に残ってて。調整役みたいな形でできることもあるし。

 

すごい人がやってるんだと思ってた

キ:ボラ旅で一緒に活動する「ねおす」っていう団体は、自然学校を教育の場にしていて(※2016年に全道各地の自然学校が独立するという形で解散したNPO)。僕が生まれたオホーツクの地域だけぽっかり穴が開いているような感じで。なんかそこでできることがあったらいいなって。「自然学校作りたい」みたいな大それたものじゃないんですけど。仕事をするうえで自然に関わっている人たちがいて、そこに暮らす子どもがいて、その歯車がうまく重なっていない部分に自分が入っていけたらって思う。
な:ねおすの中でも、苫小牧にあるいぶり自然学校の活動に参加することが多かったよね。そこではどんなことを感じたの?
キ:最初は、すごい人がやってるんだと思ってたんですよね。でも実際には、お母さんたちとか、本当に普通の人がやってる。そこが魅力的だなって。特にいぶりに行くことが多かったのは、代表の方が社会教育に携わっていた人だから、アドバイスをくれたり勉強させていただいているっていう感じ。
な:普通の人たちでもあり、すごい人でもあるよね。すごいなって思った所ある?
キ:いっぱいあって一言じゃ言えないけど…。その方は「失敗してもとにかくやる」って行動できる度量の大きさがあるんですよ。僕らが失敗しても「心配するな」って、カバーしてくれるし。なんか、引き上げていただいた感じ。4月から一緒に働けるから、それがうれしい。そう思うと、いつも誰かがひっぱり上げてくれてた(笑)
な:もしかしたら、それが強みなのかもね。でも、引き上げられ待ちってだけには見えなくって、すごく動いているし、やりたいことを話してもいるから、なんかあったら周りの人の頭にもキングが浮かぶんじゃないかな?

活動を始めてから授業が面白くなった

な:ボラ旅は、参加者がいろんな人に会って人生を変えたり、力を付けたりしてくれたらいいなって思って始めたから、「失敗を恐れない」とか、なかなか学校では学べない「姿勢」の部分に影響を受けたっていう話を聞いて、やってて良かったなって思ったよ。
キ:体験活動から学ぶことはいっぱいあった。実は活動始めてから学校の成績も上がって。
な:それめっちゃいい話だね(笑)

キ:体験活動に照らし合わせることで見えてくるものがあって、授業が面白くなったり。例えば、アフリカで支援受け待ちみたいな状況があるって話を聞いて、それは北海道の地方も似てるなとか思ったりすると「あ、つながった」って。
な:自分の中から出てくるようになるよね。
キ:体験活動ってやっぱ重要なんだなぁとか、小さいころからやってたら本当に面白いのかなって思えるし、そういう体験を提供できたらいいなって思う。なんかezorockがよくいう「Do It Yourself」とか、主体的に動くことって、子どもの活動に関係のある話なんだって思えたりして。

1年続けたくらいから周りの反応が変わってきた

な:周りの友だちはezorockのことは知ってるの?
キ:うん。最初は全然理解してもらえなかったけど、最近は。1 年続けた頃から周りの反応が変わってきましたね。本当に理解してくれているのかはわからないけど、徐々に見方は変わってきた。
な:初めは、ボランティアなんてわかんないっていう感じ?
キ:うん。「何があったんだ?」って。宗教団体なんじゃないかとか(笑)。でも最近は、大学の友だちが一緒に参加してくれたりとか、理解を示してくれて。続けることで理解してもらえることもあるんだなって。
な:それはあるかもなぁ。私も学生のとき自分がやったキャンプに友達が手伝いに来てくれたの。「よくわからんけどななこが一生懸命やってるから行ってみるわ」って。うれしかった。

おまけ~すごい人じゃなくていい

キ:ななこは、今みたいに自分もそういうことあったよとかって話ししてくれるじゃないですか。そういうのを聞けたのがなんか、大きかったかなと思って。それに、ななこって全然すごい人じゃないんですよね(笑)
な:落として終わり(笑)
キ:いや(笑)。そういうところに人が集まってくるっていうのは、なんでだろうって。NPOって行動力のあるすごい人たちばかりだと思っていたけど、ホントは人に弱みを見せたりそれでもいいんだなって、悩みながら変化していけるのかなって思って。
な:あんまりうれしくない(笑)。いや、でもその通り。かっこつけてもかっこよくないっていうか。そういうスタンスのほうが、変わっていける気がするんだよね。

最後まで読んで頂きありがとうございました。
今後もezorockで活動するコアスタッフ達を紹介していきます。

次回も楽しみにお待ち下さい。
そして、ぜひ活動にも参加してみて下さい!

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