【連載|対談】栗山町・里山づくりプログラム・西脇宏伸さん~どんな人でも入りやすい~

ezorockの『人』に着目したコラム、今回は特別版です。ezorockでは他の団体と連携して活動することがほとんどのため、現場でしか出会えない連携先のスタッフが多いという特徴があります。そのため、今回はそのスタッフさんの声を直接みなさんにご紹介します!

今回は、「栗山町・里山づくりプログラム」でいつもボランティアを笑わせてくれるわっきーです。学生時代のの経験を活かして、ボランティアを受け入れる立場で活動しています。いまや栗山町の魅力の一つ(?)とも言われているわっきーに、3年間の活動を語ってもらいました。

PICK UP

✔学生時代、社会教育や自然体験で子どもたちの生きる力を育てられるって気付いた
✔町の自然体験学習のサポート
✔そのフィールドの里山保全活動になかなか若い人を引き込めていなかった
✔地域の方と若者がしゃべりながら食事をしたことがターニングポイントに
✔最初は興味がなくても社会人でもどんな人でも入りやすい

PROFILE

名前:西脇宏伸(にしわきひろのぶ)
あだ名:わっきー
所属:栗山町地域おこし協力隊
出身地:札幌市
特徴:最近ひょっこりはん(芸人)に似ていると言われる

名前:高橋苗七子(たかはしななこ)
あだ名:ななこ
所属:ezorock
出身地:北海道旭川市
特徴:お風呂上がりの姿がロッチ中岡(芸人)に似ていると言われる

変な心の壁がない田舎の人

な:わっきーはどういう人なんですかっていうのを、まず最初聞きたいです。どうして栗山に住もうと思ったの?
わ:まず、学生の時にezorockで子どもの自然体験活動を色々な田舎でやらせてもらうことが多かったんですね。その中で、田舎の人の距離感って近いし、厳しい意見とかもすごく言ってくるんですよね。それはなぜかというと、今後のためを考えてっていうこと。それが都会にはない雰囲気かなって僕は思っていて。ある意味では人の変な壁がない状況で。受け入れてもらえるっていうか。そういうところが感覚的にいいなと思って、都会より田舎の方が住みやすいなって思って。

自然体験の世界で生きていく覚悟ができた瞬間

な:教育大出身だったよね。栗山に行って今年で何年目?
わ:3年?2015年に栗山に行って、この3月で3年目が終わります。小学校と中高の体育の教員免許があるんで。もともと教員になりたくて。今もその夢はまだあるけど、子どもと関わるっていうのが外せないキーワードですね。ただ、ezorockの活動で、社会教育とか自然体験っていう手法で子どもたちの生きる力とか、コミュニケーション能力とかを育てられるって気付いたんで、教員じゃない方法で教育に携われないかな、それを生業にできないかなっていうのを大学3年生のときに、本気で考え始めて。その現場が栗山になったっていう。
まあでも、栗山に行った一番大きなきっかけって言ったら、教員採用試験に落ちたことかな。一ヶ月間の長期キャンプ参加中に合格発表があって、落ちたって聞いてめっちゃ落ち込んでたら、スタッフの方に「こっち(自然体験)の世界へようこそ」っていわれて(笑)、ふっきれた。学校の先生じゃなく、この世界で生きていこうっていう決意ができた。大学4年のときですけどね。
な:あの瞬間かぁ。逆に「おめでとう!」なんて言われてたもんね。
わ:それで大学出た後どうするんだってときに、福島の子どもが長期休みに自然体験活動をする「ふくしまキッズ」っていうのがあって、それを栗山でまわせる人間を探しているって話があって。さらに栗山の小学校は自然体験学習を町をあげて推進しているっていうのもあって、それは僕の目指したものに近くて魅力だったから行ってみたっていうところかな。

高齢化と人手不足の課題を埋めた

な:栗山では実際にどういうことをやってるの?
わ:教育委員会に配属されて。「ふるさと教育」っていう自然体験教育のサポートをしてます。栗山の小学1~6年生までが参加するいろんなプログラムがあって。教育委員会が音頭をとって、雨煙別学校っていうNPOが指導しているんですけど、その団体のサポート。ハサンベツ里山っていうフィールドで。最近では、子どもの前で話したりする機会も設定してもらえるんで、自然体験を指導する立場にも少しずつなってきているのかな。
な:ezorockが参加している、里山保全についても教えてください。
わ:ハサンベツ里山の保全活動に、ezorockのボランティアの皆さんが来てくださっているんですけど。離農跡地で農機具とかが捨てられてしまっていた場所の里山環境を再生・復元してあげることで、子どもたちにいろんな生き物を見せたり、遊べる機会も増やせたらって、2001年に地元のボランティアでハサンベツ里山計画実行委員会が発足されて。今では年間1500人以上の子どもが体験できるフィールドになりました。いろいろな方のご尽力や寄付で、結構広い場所を復元したんだよね。ただ、その維持管理をし続けないと次世代の子どもたちには活動する場所が無くなっちゃうんですよ。
もともと20年計画を立てて、田んぼを作ったり水車を持ってきたりしてたところに、僕が入ったのが15年目くらいなんですよ。そのとき課題になっていたのが主要メンバーの高齢化。5月~11月の毎月第2日曜に保全活動をしているんですけど、始まった当初は毎回50人くらい町民の有志の方が集まっていたのが、十数名くらいになっていて。重たいものとかもあんまり持てなくなってっていう、課題が出てきた。
な:連携のきっかけは、その問題を埋めるため?
わ:うん。なかなか若い人を引き込めていなかったんですよね。若手が少ないだけじゃなく、いても毎回来てくれるわけじゃないっていう状況で。この活動が今後5年10年って続くかどうかが難しいって言うことが話されていて。ezorockが地域に若者を送り出す仕組みっていうのをしていて、じゃあそれを活用させてもらおう、一緒に手を組んで協力して、栗山の困っているところを解決していければいいなっていうのが、きっかけ。

地域の方と食事をしたことがターニングポイントに

な:この3年でなにか変わったことはあった?
わ:始めたすぐの頃は注目されたけど、あまり受け入れられなかった感じでしたね。毎回何人くるのか、どんな人か、男か女か、どういうことを学びたいのか、どういうところにフォーカスをあてて伝えたらということが最初はわからないし。1年2年そういう状態だったかな。ただ、若者が来てくれるから活動ははかどるっていうプラスの面はあって。それで急に…3年目くらいからかな、よくなってきたんですよ。活動の雰囲気が。

わ:夏に子どもたちが使う炭を、冬のうちに里山で作ってたんだけど、炭焼きってすごい大変なんですよね。それも年齢高い方が夜中かけてやってて。そういうのも一緒にやってみようよっていうことで企画したとき、実行委員会のみなさまにご飯をお願いして、地域の人たちとしゃべりながら食事をしたことが大きかったかな。それまで実際の活動では実行委員会チームと若者チームに分かれちゃっていた。でも、その時に若者としゃべる機会が結構できて、距離が縮まったんじゃないかな。それはすごくよかった。ターニングポイントになったんじゃないかなと思います。
そこから、昼食を出していただいたり、しかも買ってきた弁当とかじゃなくて、作ってもらったおにぎりとか豚汁とかをできるだけお願いしますっていって、つながりができてきていますね。

な:そのあと、代替わりがあったよね。実行委員も。
わ:今年から。事務局を一新して、かなり若い世代で体制を作ったんですよね。今の事務局長は30代だし、僕も事務局に入らせてもらって。たぶんボラ旅もきっかけになったんじゃないかと思う。それまでやってきた人だけでは存続していかないってところと、ezorockが入っていくことで活動を若い人が引きついでいってくれるっていうのが見えてきたのかもしれない。
な:他に感じたことはある?
わ:今まで長年やってきた方に対して若者が意見を言えない雰囲気だと勝手に思っていたんですけど、実は若者からの意見ももっと欲しいっていうのがわかって。一番衝撃だったのは、実行委員会の人がミーティングにボランティアを呼ぼうといってくれて、札幌から参加してもらったこと。
な:一緒に考えようみたいなことかな。
わ:ざっくりいうと、認めてもらえたんだと思う。総会にもメンバーが来てくれたりして。少しずつコミットが上がってきた。
な:ほぼ毎回、実行委員会の方が里山について色んな話をみんなに教えてくれるっていうのもあったよね。若者たちは作業だけでなく話を聞きたくて来ているんだっていうのが伝わったっていうか。実行委員会の人はもともと、若者が自然についてだけ学びたいと思っていたみたいなんだけど、いろんな興味があることををわっきーも伝えてくれたりしてさ。それでよくなったっていうのもあるよね。

多種多様な人がいて、いろんなかかわりができる

わ:最初は教育や自然について専門的に学びたい人が集まる活動という感じで始めたと思うんですけど、それよりも、地域の人と関わるところに魅力を感じるような人も集めたほうがいいじゃないかって、ふわっとシフトチェンジしてだんだん、学生だけじゃなくて社会人も来た。
な:結構社会人もきたよね。めっちゃ楽しいって言ってる人いるよね。なんか、自然体験とか里山とかがもともと好きな人だけにこだわらないのがezorockらしいなって思って。わっきーだって学生時代は好きな先輩がいたから参加したんであって。
わ:そうそうそう(笑)
な:自然体験活動絶対やるぞ!って感じじゃなくて。だけど、体験の中でこれ面白いなとかこういう可能性があるなっていうのが分かってきて、別の面白さに気づいたりとか、そっからまた勉強したりとか、自分の興味に寄せて色々やっていける場所にしたらいいのかなって。栗山は近いし、わっきーがいてボランティアの気持ちとかもわかってくれているし、すごくやりやすい場所なのかなっていう気がする。

おまけ1~メンバーのみさと界も話に参加

な:わっきーから読んでいる人になにか一言ありますか?
わ:なんだろうなぁ。みさは?なんかない?
みさ:一回来てみて、来てみてから、継続していくのか行かないのかを考えてみてほしい。感じたままに。
わ:楽しいから来てくれってことだよね。みさは何が楽しいの?
み:特別自然が好きとか、環境に関心があるとかそういうわけじゃないけど、休日に時間があっておばあちゃんに会いに行くくらいの。そういうくらいの気持ちで。
界:気軽に参加できるのがいいよね。例えば5月に行って、6・7月は忙しいから参加しないとかね。あと、車で一時間だし、午前中で帰ってもいいし。研究で携わっている人とか、社会人とか、いろんな人がいるのでどんな人でも入りやすいなと思う。
わ:そうだね。ボランティアの活動っていっぱいあると思うけど、その中でこの活動はある意味入口がぼわっとしてるかな(笑)。大きなミッションはあるけど、薪を作るとか炭を焼くとか、川の保全をするとか、一年を通していろんな活動ができる。それを選択しながら自分のペースで参加してもらうのもいいし。気軽に年齢の高い人と話せるっていうそういう機会も少ないと思うし。人生の大先輩と話せるっていうのも面白い。
界:地域にも、いろんな人がいるもんね。農家さん、左官屋さんから花屋さんもいるし。栗山って、参加する人も受け入れる人も多種多様だと思う。

おまけ2~意外と福祉系の活動!?

わ:余談だけど、これって福祉系の活動になるんじゃないかって思うんですよね、実は。年齢の高い方が若者に対して「また次もやるよ、だから来てね」っていうような前向きな話をする時があって。そのために頑張ろうっていう人もいるし、地元の人に会うために栗山に来る若者もいるし、いいことだなって思う。
界:ボランティアが教えてもらうだけじゃなくて、栗山の方もなにか考えるきっかけにつながるっていうのは、なんかいいよね。
わ:栗山のみんなもモチベーション上がっているよ。
すっごい量の料理を作って待っててくれて嬉しいよね。
わ:もってけ、もってけって言って、おにぎりめっちゃ持たしてくれたりするからね。心も満たされるし、おなかもいっぱいになると思うよ!

最後まで読んで頂きありがとうございました。
今後もezorockで活動するコアスタッフ達を紹介していきます。

次回も楽しみにお待ち下さい。
そして、ぜひ活動にも参加してみて下さい!

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